有害図書

「グランドセフトオート(以下GTA)3」が有害図書指定されたそうだが、これには反対だ。とは言っても「現実とゲームの区別はついてるよ!」と言う観点ではない。純粋に効力として、或いは答申に至る経緯があまりにも不可思議と言うか、おかしいので反対なのである。
一番肝の部分から先に言うと、「一昨年の9月に出て、続編が出ちゃってる作品を今更有害図書指定してどうすんの?」と言うことである。別のもので言えば、スターウォーズEp1を「児童虐待につながる」として、R18にするようなものでしかないのでは。なんの効果があるのか意味不明。メーカ的にも販売店的にも「もう終わった」作品が有害指定されたところで、ラインナップから外して黒歴史で終わりでないの、と思うのだが。以後GTA3を基準として残虐性を考慮する、と言っても次の問題がある。
残虐シーンを15分に編集したDVDを提出し、他の2本と比べる、と言う手法で残虐性の判断がなされたようだが、まず最初に編集が恣意的でなかったかという問題が発生する。ここで残虐性を無理矢理高めるような編集がされていたとすれば論外である。また、例えばプレイ時間の90%以上を「残虐な」戦闘シーンが占めるが、それはプレイヤーに悲惨な戦闘を経験させることで、戦争は良くないとの認識をさせることが目的であるソフトがあるとする。この場合、90%のみを編集すれば間違いなく「残虐な」ソフトであると言うことが言える。しかし、残り10%の製作側が言いたいことを含めて編集すれば「残虐」ではないのではないのか。この場合「ゲームと現実との区別がつかない」ことが逆に「戦争は良くない」との認識をさせるのに一役買っているとも言え、まったく問題ない認識になる。この場合このソフトは果たして「残虐ソフト」として指弾されるべき性質のものであろうか。(「暴力表現、グロテスクなシーンが含まれています」であることに一切の異議は無いが)
また、他の2本が何か分からない。いったい如何なる性質のどういうソフトと比べての残虐性なのか一切不明なのはよろしくない(無論一般人に公開する義理はない、と言う言い分もあるだろうが)。しかし、それを置いても相対として、残虐性を測定するのは些か無茶ではあるまいか。例えば「トロと流れ星」と比べてしまえば大抵のソフトは残虐だ、と言うことになると思うのだが。
上記理由から私は今回の有害図書指定には難色を示さざるを得ないのである。